ZEHのための設計の工夫
ZEHの基準をクリアするためには、いくつかの性能基準値をクリアする必要があります。
基本的には、建築材料に性能の高いものを採用していくことになりますが、基準値の計算式を利用した設計面のアプローチを知っていると、同じ建築材料を利用していても、計算上さらに有利になることがあります。
ここでは、そうしたアイディアをご紹介します。
掲載日:2018/11/29
ZEHの基準をクリアするためには、いくつかの性能基準値をクリアする必要があります。
基本的には、建築材料に性能の高いものを採用していくことになりますが、基準値の計算式を利用した設計面のアプローチを知っていると、同じ建築材料を利用していても、計算上さらに有利になることがあります。
ここでは、そうしたアイディアをご紹介します。
基本的にZEHでは、太陽光発電などによる創電が必須です。 その場合、設計段階から屋根の形を考えることで、将来に渡って大きな違いを生み出すことが出来ます。つまり、ZEH住宅の場合は、太陽光パネルを最大効率で最大面積搭載する場合が多くなります。
太陽光パネルを最大効率にするポイントは、以下の通りです。
太陽光パネルは、設置する方角で稼働効率の計算が変わります。 南向きの効率100%の面積を大きくすることが基本です。
太陽光パネルで大切なポイントのもう一つは、太陽との角度です。 お住まいの地域の緯度によって、最適な発電量を生み出す日射角度が変わります。
それぞれの地域の、稼働効率100%の勾配は、以下の通りです。
そうした場合、このような家の形が最適と言えます。
ただし、ZEH Orientedの場合、太陽光パネルの設置が必要ないため、屋根の形を自由に選ぶことが出来ます。 屋根裏部屋や屋上を設置したりすることができるのは、ZEH Orientedならではのメリットです。
ZEHの外皮性能計算を行う際、最も影響するのが「主たる居室」(一般的には、リビング)の設計です。 「主たる居室」の床面積を小さくすることが、外皮性能計算で有利に働きます。
例えば、近年流行っているリビング階段の設計は、「主たる居室」と階段が一部屋の中にあります。そうすると、階段及び二階の廊下面積まで「主たる居室」に計上されてしまうため、不利に働きます。
そこで、階段を廊下に設置し、「主たる居室」とドアで区切ることで、面積を小さく計上させることができます。
リビングを吹き抜けにして開放的な空間にするという設計は、近年人気の造りです。しかし、ZEH基準では、2階廊下の床面積も「主たる居室」に含まれてしまう場合があり、不利になってしまう可能性もあります。
その場合、二階の廊下に壁を設置することで、2階廊下の床面積を「主たる居室」に含めないことができます。
ただし、吹き抜けの高さは、4.2mまで。一般的な天井の高さは、2階天井高さ+空間+1階天井高さ(5.15m~5.4m)になります。そのため、やや低くなります。ここは、要注意です。
ZEH住宅では、一次エネルギーの消費を抑える工夫を建築材料の高性能化で行うことが基本です。
ただ、こうしたアプローチは、設計の工夫でも行うことが出来ます。
外皮性能計算には影響しませんが、発電を行わないZEH Orientedでは、特に嬉しい工夫です。
ウィンドキャッチャーとは、小さなすべり出し窓や窓脇の壁によって、外壁を伝う風を受け止め室内に取り込む仕組みのことです。
適切な方向・配置で設置することで、室内に約10倍の通風量を生み出すことが実証されています。
仕組みとしては、単純で、窓に風をぶつけて室内に取り込もう、というものですが、これを適切に行うことで、大きな効果が得られるというわけです。
自然エネルギーを積極利用し、室内温度を効率よく下げることが出来るため、ぜひ取り入れたい工夫です。
「多灯分散照明」という、照明機器を低ワット数で分散させて配置する方式は、省エネ効果が高いことで知られています。
参考:COOL CHOICE「快適&省エネ!多灯分散照明で変わるあかりライフ」https://ondankataisaku.env.go.jp/coolchoice/akari/archives/160715.html)
従来の「一室一灯」では、部屋全体を一つの照明でカバーするため、必要ない場所まで照らしてしまい、電気代の浪費につながっていました。 それに対して、無駄な明るさを極力避け、必要な時に必要な場所の照明を点けるというのが「多灯分散照明」の考え方です。
また、生活シーンに合わせて照明演出を変えることが出来、快適なだけでなく、室内をより美しい空間に映し出すことができます。
家を建てる時には、様々な補助金の利用を検討します。 ZEH専用の補助金も存在しますが、複数存在し、条件も複雑。 さらに、毎年度条件や金額が変更される可能性があります。ここでは、現在(平成30年度)の補助金に関して、まとめていきます。
ZEHの「断熱性」と「省エネ性」は、どんなもので作り出されているのでしょうか。ここでは、ZEHの正体とも言うべき、その建築材料たちを紹介していきます。