掲載日:2018/7/16

ZEH と 健康

「良い家を建てることは、健康で快適に暮らすこと」

突然ですが、交通死亡事故の一年間の件数をご存知でしょうか?
厚生労働省発表のH27人口動態統計によると、5646件。
それに対して、家で起きた不慮の死亡事故は、13946件。

出典:厚生労働省 平成28年(2016)人口動態統計(確定数)の概況(https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/kakutei16/index.html

心臓発作や階段からの落下など、交通事故の二倍以上の件数が「家」の中で起きているのです! 最も安らぎがあるはずの場所でのこの事実は、衝撃的ではないでしょうか。

では、安心して過ごせる我が家にするためには、どうすればいいのか。
「健康で快適に暮らせる家」という観点から考えてみましょう。


冬暖かい家は、病気になりにくい

家の中で起こる事故の最もメジャーなものの一つに、「ヒートショック」があります。

ヒートショックとは、温度の急激な変化による血圧の急上昇や急下降などによって、心肺停止などの危険な悪影響が起きる症状。
真冬にリビングから廊下に出た時、一気に冷えてドキッとしたことがありませんか? それの重大なケースがヒートショックです。

日本の家は、伝統的に断熱性能が良くないため、リビングと廊下・お風呂・トイレなどの間で大きな温度差が起きている場合が多く、このヒートショックが大きな問題となっています。
高齢者の入浴時の事故なども大変危険です。

では、どれくらいの温度差が危険なのかというと、
一般的に「急激な温度差が7℃以上」と言われています。

これは、家の断熱性能を向上させることで解決できます。
断熱性能を向上させることで、心臓への負担も血管の急激な収縮も防ぐことが出来、体に負担のない生活を得ることが出来ます。

また、「室温が18℃以下であると、健康リスクが飛躍的に高まる」という研究データもあります。具体的には、血管の収縮による影響が大きいと言われています。

イギリスでは、なんと保険省によって「全室18℃が最低推奨温度」と定められており、それを下回る賃貸住宅のオーナーには、法律によって解体・修繕命令が出るとのことです。

出典:英国保険省イングランド公衆衛生庁「イングランド防寒計画2015.10」

室温が高いと、冬の循環器疾患のリスクの低下も期待できます。血圧の変動を減らし、健康に暮らすことが出来るのです。


夏涼しい家は、病気になりにくい

断熱性能が高い家は、夏の暮らしも快適にしてくれます。

夏の最も大きい健康リスクは、「熱中症」です。

熱中症の多くが屋内で起きており、その40%が住宅で起きています。

原因としては、断熱性能が低い住宅で、室内温度が高まること、冷房を適切に使用していないこと、使用していても十分に冷えていないこと、水分摂取が足りないことなどが挙げられています。

断熱性能を上げることで、外気温の影響を受けづらくなり、冷房効率もアップします。結果、熱中症リスクも低減することが出来ます。
また、家の中の温度差が無くなるため、廊下の蒸し暑さや不快感を解消します。

他にも、創風という概念もあります。

これは、建物の構造的に風が通り抜けやすくすることで、室内の湿度を落とし、木陰のような快適さを求めるものです。

こうした「夏涼しい家」は、蒸し暑い日本の夏においても、夜寝苦しくない、良質な睡眠のとれる家となり、寝不足や夏バテにもなりにくくなります。。


空気のキレイな家は、症状が出にくい

アレルギーや喘息、アトピーの方には、さらに良い効果も期待できます。

断熱性能を上げることは、冬の結露の対策にもなります。

アレルギーや喘息の原因の一つは、室内に発生するカビです。
このカビは、結露による湿度が大好物。それを無くすことで、室内のカビ繁殖原因を絶ちます。

同じように、アトピーの方にも、結露対策は有効です。

アトピーの症状悪化の原因の一つに、ダニなどがあります。
このダニも、湿度が大好き。断熱性能を上げれば、繁殖が抑えられます。

つまり、断熱性能の高い家は、カビやダニを減らす、「空気のキレイな家」と言えます。

他にも、花粉症の方にも効果が期待できます。

断熱性能が高いということは、外気が入ってきづらい構造であると言えます。
室内に入ってくる花粉が劇的に減少することで、症状の緩和が期待できます。


ZEHは、「健康で快適に暮らせる家」の答えの一つ

年間の一人当たりの医療費は、毎年増加傾向で、厚生労働省のH27医療保険に関する基礎資料によると、
年間一人当たり333,300円。 生涯の医療費は、2700万円にも上るそうです。

出典:厚生労働省 医療保険に関する基礎資料(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/iryouhoken/database/zenpan/kiso.html

病気で苦しくなり、医療費にお金を使うのは悲しいものです。
家を快適にするためにお金を使い、健康で豊かな生活を送ることが、長く楽しく生きる手段の一つのように感じます。

断熱性能を上げた家は、つまるところ、ZEHの構造にたどり着きます。
ZEHの仕様の大きな部分を断熱性能が占めるからです。

ZEHは、「健康で快適に暮らせる家」の答えの一つとも言えるでしょう。

ZEH Orientedの場合、太陽光パネルが不要のため、比較的低価格でZEH仕様にグレードアップできます。

住宅地で風通しが望めない場所だからこそ、「ZEH Orientedの家」と「健康で快適に暮らせる家」は、同じ立ち位置の家と言えるでしょう。

  • ZEH Orientedとは

    ZEHの種類の一つで、住宅を建てる場所によって決定されます。ZEHの必須要件の一つに太陽光発電がありますが、東京23区などの都市部で敷地面積が狭い場所に家を建てる場合、十分な発電量が期待できない場合があります。

  • ZHE比較一覧

    ZEHの定義は、毎年制度が変わることで変化しているのが現状です。その中でも、2017年度から2018年度へ、大きく変化しました。昨年度までは、二種類だったZEHが、今年度から5種類(!)に増加しました。